いろいろな病気についてのアドバイスと解説
「メタボリック症候群」をご存知ですか?
最近内科系の複数の学会が話し合って「メタボリック症候群」なる概念を発表しました。
これは内臓肥満とともに中性脂肪の上昇とHDL(善玉)コレステロールの低下、高血糖、高血圧のいずれか2つを併せ持っている場合に適応される病名で、その背景には年々心筋梗塞や脳卒中といった血管の病変が原因となる疾患が増加していることがあります。つまり、これら1つ1つが軽度でも組み合わさり、メタボリック症候群になると血管系の疾患にかかる確率が2倍以上になるのです。
男性はウェスト85cm以上、女性では90cm以上が内臓肥満の指標になります。早速こっそりと巻尺で計ってみてはいかがでしょうか。
「過活動性膀胱」をご存知ですか?
日常生活で尿意切迫感(なんとなく小便が漏れそうになったり、ガマンできなくなること)を感じられている方は案外多いのではないでしょうか。
私もこのような状態になった経験があります。膀胱炎や前立腺の病気が原因となっていることもあるのですが、これらの原因がない場合を過活動性膀胱と呼んでいます。病気というほどのことはないと思われる方もいらっしゃいますが、これは生活の質(QOL)を低下させる要因として重要です。
気軽に医療施設に相談されるのが良いと思います。
老人性痴ほうを疑ったときにお勧めのテスト
老人性痴呆にはアルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆があります。
現在はいずれも治療薬がありますが、問題は痴呆の可能性があるかどうかどのように区別をつけるかです。
簡単なテストに10時10分を指した時計の絵(デジタル時計でなく、アナログ時計です)を書いてもらうものがあります。もしうまく書けなければ、早期治療により痴呆の進行を遅らせることができる薬剤がありますので、早めに医療機関へ受診することをお勧めします。
インフルエンザ予防注射についての解説
今年の冬はSARSの流行を恐れて政府はSARSと初期の症状の似ているインフルエンザの予防に力をいれています。ただやみくもに予防注射をやれといわれても注射はいやでしょう。そこでどうして予防注射をしたほうが良いのか良くお寄せいただく質問にお答えします。
1.予防注射は本当に効くのか
100%ではないですがかなりの確率で効きます。
15~17歳の男性を対象として2回接種した場合、有効率80%とのデータがあります。ただしこれは予防接種と実際に流行したウイルスの型が同じ場合の話です。
毎年国立予防研究所が流行するウイルスの型を推測し、それに基づいて製薬会社が予防注射を製造します。製造する会社が異なっても全く同じ型のウイルスに対する予防注射を作ります。ちなみにここ2~3年は予測が的中しているので予防接種の効果がありました。
2.なぜ予防注射は病気の発症阻止効果があるのか
免疫機能に重要な抗体(病原体をやっつけるたんぱく質)は、同じ病原体にある程度の期間をおいて何度かかかると、回数を重ねるごとに速やかに、かつ大量にできるようになります。これをブースター効果、あるいは追加免疫効果といいます。
予防接種は病原性のない病原体を注射することですから、これによりあらかじめ体内に抗体が少量作られます。その後、本物の病原体にかかるとブースター効果により速やかに抗体を大量に生産されるために症状が出る前に病気が治ってしますのです。
3.予防注射は2回受けなければならないのか。
半分はイエスです。
65歳以上の高齢者は1回接種でも34~55%の発病阻止効果、82%の死亡阻止効果があるという報告があるので1回でも十分とする意見があります。一方15~17歳の男性を対象として2回接種した場合有効率80%とのデータがありますが、一回接種のデータがありません。ただ、高齢者の1回接種よりは効果は低いであろうと推測されます。
その理由はブースター効果により説明できます。
インフルエンザにかかる確率は年齢を経るごとに大きくなります。つまり高齢者は若年者よりインフルエンザにかかっている回数が多いため、一回の接種でブースター効果が現れるのです。もちろん高齢者に2回接種をすればより効果は高くなります。若年者でも今までに何度もインフルエンザにかかったという自信(?)のある方は一回接種でもよいかもしれません。
マイコプラズマ感染症にご注意!
マイコプラズマはウイルスとほぼ同じ大きさの微生物で、よく使われるペニシリン系、セフェム系の抗生物質(ケフレックス、ケフラール、フロモックス、セフゾン、バナン、サワシリンなど)が全く効かないのが特徴です。
主な症状は頭痛、だるさに続発する発熱、咳です。発熱は38℃を超えることが多く、発作性のカラセキが2~3週間続き、そのため胸の痛みを伴うことが特徴的です。
診断は血液検査やレントゲン検査によります。治療はマクロライド系、テトラサイクリン系の抗生物質(エリスロシン、クラリス、ジスロマック、ミノマイシンなど)やニューキノロン系の抗菌剤(クラビット、スパラ、ガチフロ、オゼックスなど)を使用することです。以前はオリンピックの開催年に流行すると言われていましたが、最近はこのような傾向は見られなくなりました。
一旦かかると症状がなくなるまで長期間かかるのが困り者です。
不眠症の対策は大切です
国民の4~6割もの方が不眠を経験されたことがあるとの報告があり、最も数の多い疾患です。
「病気というほどのことはない」とお思いの方も多いですが、翌朝の仕事に差し支える場合もありますのでやはりきちんと治療をしたほうが良いと思います。「睡眠薬はくせになる」とご心配される方もいらっしゃいますが、医師の管理下で使用する限りは大丈夫ですし、小生の経験上くせになることを心配される方に睡眠薬の依存が発生することはまずありません。
それよりも不眠という「生活の質」を落とす原因をなくすほうがはるかに重要なことです。ちなみに小生も「生活の質」を落とさないために時々使っています。
不眠を感じたらお気軽に医師に相談されるのが良いと思います。
果物・野菜と花粉症との関係をご存知ですか?
果物や野菜を食べた後、くちびるや口の中がかゆくなったり、ヒリヒリしたりすることはないでしょうか。
もしその症状が同じものを食べた後出るのであれば、アレルギーを考える必要があります。特にヨモギ花粉症の人はニンジン、セロリ、リンゴなどのアレルギーになりやすく、ブタクサ花粉症の人はキュウリ、スイカ、メロン、バナナなどのアレルギーになりやすいと言われています。
ドライスキンとアトピー性皮膚炎
かさかさした肌はアトピー性皮膚炎の原因として重要です。
アトピー性皮膚炎の治療は民間療法も含めていろいろなものが存在しており、治療についての話題には事欠きませんが、いったん軽快したアトピー性皮膚炎の再発予防やアトピー性皮膚炎の発生予防には関心が少ないような印象があります。
しかしこの点は重要で、ドライスキンに対するケアがとても大切なのは、アトピー性皮膚炎の子の親としての実感です(小生の子供はアトピー性皮膚炎でしたがステロイド治療とドライスキンのケアで治っています)。具体的には、風呂、シャワーに毎日入り、風呂上りになるべく早くワセリンなどの保湿剤をドライスキンの部分に薄く塗ることを根気強く続けることです。いったんアトピー性皮膚炎が治っても必ず続けてください。
途中でやめると再発します。夏はぬるめの風呂に長く入ることもお勧めです。
頭痛でお悩みの方へ
頭痛は風邪などに伴って一過性に起こるものと、長期間にわたって繰り返し起こるものがあります。
後者は慢性頭痛と呼ばれ、いわゆる頭痛持ちの方はこれに該当します。偏頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の3つがその主なもので、それぞれ治療法が異なります。数は少ないのですが、脳腫瘍などの重大な病気が原因となっている場合もありえます。また、漫然と市販の頭痛薬を飲んでいるとくせになってしまったり、治りにくくなってしまうことがあるので、早めに医師に相談されることをお勧めします。
めまいが気になる方へ
めまいの原因は耳、脳、自律神経の異常や首の骨(頚椎)の異常など数多くあります。したがって心配なめまいとそうでないものを見分けるにはめまいとともに現れる他の症状が重要になります。
たとえば耳鳴りや難聴を伴う場合は耳に原因があることが多く、嘔吐、手足のまひを伴うときは脳に異常のあることがあります。もしめまいが起こったら、
1.楽な姿勢をとって安静にする。
2.衣服がきつかったらゆるめる。
3.目の前の動くものを見つめないようにする(目を閉じるのが良い)。
4.揺れるものになるべく乗らない。
といったことを実行すると楽になることが多いですが、頻繁に起こすようであれば医師に相談してください。)
風邪をひいたあと、咳がなかなか止まらない。なぜ?
このような悩みを抱えておられる方は最近増加しているように感じます。
実は院長もそのひとりなのですが、これには風邪をきっかけとして肺への空気の通り道(気管支)が刺激に敏感になりすぎてしまう状態となることが原因の一部であることがわかってきました。この状態は咳喘息とも呼ばれおり、一般のせき止めは効果がないことが多く、ある種の抗アレルギー薬が有効です。
下痢気味でお悩みの方へ
下痢の原因は
1.大腸での水分の吸収が悪い、
2.腸液の分泌が多い、
3.腸のぜん動運動が激しすぎる、
の3つです。
ウイルス、細菌が下痢の原因となることはご存知のことと思いますが、食物アレルギーが原因となっていることがあります。一般的には、
・暴飲暴食をしがちである
・食事の脂肪分が多い
・牛乳を大量に飲む
・深酒をしがちである
といった方は下痢を起こしやすいのです。以上のどれかに思い当たる方はまずそれを改善してみてください。
また、最近ストレスが原因となる過敏性腸症候群が多くなっています。この場合は生活のリズムを規則正しくすること、ストレスをためないようにすることが重要ですが、軽快しない場合は医師に相談することをお勧めします。
「胃が痛い」のは本当に胃のせいなのでしょうか?
胃の近くには胆嚢、膵臓、十二指腸、食道、大動脈などの臓器があります。内臓の痛みは位置がはっきりしないことが多く、「胃が痛い」と思っても胆石発作、膵炎など胃周囲の臓器の病気であることがあります。
長期間にわたってくりかえし起こる痛み、あるいは冷や汗や不安感を伴うほどの激しい痛み、発熱を伴う痛みのときは単なる胃炎ではなく、重篤な病気であることが多いのでなるべく早く医師に相談されることをお勧めします。
自分の動脈硬化がどのくらいかな?とお思いの方へ
動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞などの重篤な病気の原因であり、気にされている方も多いと思います。
当院には血圧脈波測定器(form ABI)という機器と頚動脈エコーが常備してありますので手軽に動脈硬化の度合いを測定することができます。血圧脈波測定器の原理は手足の血圧を同じに測定し、そのときに記録される脈波(血圧の変化)を分析することによるものです。検査の時間は10分足らずです。
頚動脈エコーは近年解像度の高い超音波診断装置で頚動脈の壁の凸凹を直接観察するものです。検査時間は10~15分です。痛みを伴う検査ではないのでお気軽にご相談下さい。
口内炎ができやすくてお困りの方へ
口内炎はできてしまうと食べ物がしみたり、歯があたって痛かったりと不快なものですね。以前から口内炎のつけ薬はありますが、いくつもできてしまったときはこれだけで治療できず、飲み薬を併用することとなります。
ビタミンB2,B6はその場合良く使われますが、これのみでは効果が不充分であるため、治すのをあきらめてしまう方もおられます。これに対して、最近ある種のアレルギーの薬や漢方薬が効くことわかってきましたので、あきらめる必要はなく医師にご相談されることをお勧めします。
胃・十二指腸潰瘍とピロリ菌の話
ピロリ菌は1982年に発見された、胃・十二指腸潰瘍に深く関与する細菌です。
以前、潰瘍は治療をやめると再発するものでしたが、ピロリ菌が関与する潰瘍ではこの細菌を退治すれば再発は防げることがわかりました。
特にストレスが多く、繰り返し発生する潰瘍にお悩みの方は一度ピロリ菌の検査をすることをお勧めします。というのはストレスにより引き起こされるのは胃炎や十二指腸炎であり、これにピロリ菌がかかわると潰瘍になるという説があるからです。したがってピロリ菌を退治すれば潰瘍まで悪化せずに済み、必要とされる治療期間が短くなるのです。
非ステロイド系坑炎症剤の長期内服にご用心!
非ステロイド系抗炎症剤と言う名前は聞いたことがなくても、ボルタレン、ロキソニン、ブルフェン、フルカムといった名前をご存知の方はいらっしゃると思います。これらの薬は解熱、鎮痛効果があり、風邪や関節炎からリウマチ性疾患までさまざまな病気に効果があるためそれらの治療には必要不可欠な薬です。
ただ、これらの薬は長期間(一般的には3~6ヶ月以上)続けなければならないときは胃潰瘍の発生や腎機能に対する影響が出てくることが懸念されます。その場合使用量を減らすことが第一ですが、痛みなどでどうしてもやめられない場合は胃や腎臓の検査を行うことが重要で、場合によりそれらの臓器を保護する必要があります。
内痔核(いわゆるいぼ痔)や肛門脱(いわゆる出痔)でお悩みの方へ
以前はこのような疾患に対する手術は痛みが強かったのですが、最近PPH(Procedure for Prolapse and Hemorrhoid)という、手術後の痛みが少なく、入院期間も4日程度で済む手術が一部の施設で導入されております。
県内ではさいたま赤十字病院外科(さいたま市中央区上落合8-3-33、048-852-1111)が実施数が多く、お勧めできます。当院はその窓口となっていますので他の医療施設で手術を勧められ、悩んでいる方はご相談にいらしてください。
高脂血症と言われた方へ
高脂血症にはコレステロールが高い場合と中性脂肪が高い場合(あるいはその両方)があります。
通常、これらが高いだけではなにも症状はありません。問題はこのような状態を放置しておくと動脈硬化が進行し、脳卒中、狭心症、心筋梗塞などの重大な病気にかかりやすくなることです。つまりこれらの病気を予防するために高脂血症を是正する必要があるのです。
ここで注意しておきたいのは、中性脂肪減少には運動やカロリー、アルコール摂取を減らすことが極めて有効ですが、コレステロールに関してはこれらの効果がやや少ないということです。したがってコレステロールが高い方は早めに一度医師に相談し、場合により薬の服用をしたほうが良いことがあります。
健診で血糖が高め、あるいは糖尿の気があるといわれた方へ
血糖がやや高めというだけでは糖尿病とはいえません。
以前は糖尿病の前段階ということであまり重視されていませんでしたが、最近このような場合でも、特に食後の血糖が高い場合動脈硬化が促進され、心筋梗塞や脳卒中の原因となることがわかってきました。つまり今までこのような方たちは「まだ糖尿病ではないから」と放置されてきてしまったわけです。
もし「糖尿の気がある」場合、食後2時間の血糖が200を超えていれば食事療法、運動療法などの治療を早めに始めた方が脳卒中や心筋梗塞の予防になりますの。特に太り気味の方は要注意です。というのはこのような方は血糖をコントロールするホルモンであるインスリンに対する反応が鈍くなっており、その結果インスリンが過剰に分泌されている可能性があるからです。
インスリンは多すぎると体脂肪の蓄積が増え(つまりさらに肥満になってしまいます)、動脈硬化の進行を速めてしまうといわれています。インスリンに対する反応をよくするためには1に運動、2にダイエットです。また念のために甘いジュースを飲んで血糖値を30,60,120,180分後に測定する糖負荷試験をお受けになり、インスリンの分泌の具合を検査することをお勧めします。
糖尿病治療に関する最近の考え方(内服薬編)
従来、糖尿病は血糖をコントロールするインスリンというホルモンが不足する事によって引き起こされると考えられてきましたが、最近になってインスリンは不足していないのに、それに反応しにくいために血糖が高くなり、糖尿病になってしまうケースが多いことがわかってきました(インスリン抵抗性といわれています)。
この場合、インスリン分泌を増やす薬を飲んだりインスリンの注射をしてしまうと血糖値は下がりますが、肥満をかえって助長してしまう(インスリンには体脂肪を増やす働きがあるため)ことがあります。
現在は5つのタイプの内服薬があり、その中にはインスリン抵抗性を是正するものもあるので、これらを上手に使いわけることが我々医師の腕の見せ所です。
糖尿病治療に関する最近の考え方(インスリン注射編)
インスリンの注射は膵臓からのインスリンの分泌量が不足したときに行うものです。インスリン分泌が急速に廃絶されてしまうI型糖尿病の患者さんにとってはなくてはならないもので、これは従来からの考え方と違いはありません。
問題はインスリン分泌が徐々に減少する場合のあるII型糖尿病(II型糖尿病のすべてがインスリン不足になるわけではありません)に対するインスリンの使い方です。
従来多かったパターンはインスリン分泌を促進する内服薬で頑張れるだけ頑張って、インスリン分泌がかなり不足してから注射を始めるもので、この場合は一旦インスリン注射を開始するとほとんどは一生やめられなくなります。
ところが、インスリンの分泌が不足し始めたとき、早めに十分な量のインスリン注射を始めると、膵臓からの分泌が回復し、インスリン注射が必要なくなるケースがあることがわかってきました。つまり、早めのインスリン注射が膵臓のインスリン分泌能を回復させるのです。
ですから、インスリン注射を始めると一生やめられなくなるという考え方は正しくありません。
高血圧の薬を始めると一生やめられないのでしょうか?
高血圧の治療を開始するとき患者さんからこのような質問をお受けすることがありますが、必ずしもそのようなことはありません。
肥満や強いストレスのある方はそれらの是正により血圧が低下することが多いので一旦始めた薬を止めるケースが多くあります。
また、夏は血圧が下がるので一時的に薬を中止することもあります。その場合は家庭血圧を測定することにより一年中適切な血圧を保つことが容易になりますので、血圧測定だけは一生続けたほうがよいと思います。
高血圧治療に関する最近のトレンド
高血圧は放置しておくと脳卒中、心筋梗塞、網膜症、腎機能障害などの重大な病気の原因となるため、そのコントロールは重要であり、しばしば患者さんに降圧剤を服用していただくこととなります。
しかし、医療施設で血圧を測定すると普段の血圧よりも上がってしまうことが多いため、最近はご家庭で測定する血圧が徐々に重要視される傾向にあります。また、血圧をどこまで下げるかということに関してWHO(世界保健機関)では120/80が望ましいと報告しており、副作用が出ない限りはなるべく下げたほうが良いという意見が多くなっています。
ただし、高齢者や脳梗塞を起こした方に関しては血圧の下げすぎは良くないと主張する意見もあり、はっきりした結論は出ていません。
降圧剤はただ血圧を下げるだけで良いのでしょうか?
今まで、降圧剤は血圧を下げる効果が重視される傾向にありましたが、最近降圧剤を服用したことによるメリットがどの点にあるのか(心筋梗塞や脳卒中の予防、寿命の延長など)が重視されてきており、それを確かめるためにすでに市販された薬剤を対象とした大規模試験がいくつも行われています。
つまり、その結果により今まで我々が使用してきた薬剤の効果が再評価されることとなり、高血圧の治療方針に影響を及ぼすこととなるのです。
ご家庭での血圧測定のススメ
医療機関で血圧を測定すると普段より高くなってしまうと感じておられる方は多いと思います。これは白衣高血圧と呼ばれており、精神的な緊張が原因です。
最近、血圧の正確な把握のために家庭で血圧を測定することが学会でも重視される傾向にあります。そこで、検診や人間ドックで血圧が高いと言われた方、高血圧で治療中の方はご家庭で血圧を測定することをお勧めします。
測定器は普通の電器屋さんで売っているものでOKですが、腕で測るものが良く、指や手首で測るものは結果が不安定なので避けたほうが無難です。測定の時間は起床直後や降圧剤内服前が最も良いようです。
高血圧学会では135/85mmHgまでを正常としています。
肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症の4つが合わさると要注意です
肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症の4つが合併した場合をさして「死の四重奏」といわれる恐ろしい状態になります。
何がそんなに恐ろしいのかと言うと、この4つが合併しても何ら症状はないのに、急速に動脈硬化が進行し、脳卒中・心筋梗塞などの重篤な病気を引き起こすからなのです。
もしあてはまる方はこれらの一つ一つが軽症であっても医師と相談のうえ、充分な治療をすることを強くお勧めします。
低血圧が気になる方へ
一般に上の血圧がいつも100より低い状態を低血圧といいますが、他に病気がない場合は寿命に影響することはないといわれています。
症状がなければ放置可能ですが,急に起き上がったり、立ち上がったりしたときに立ちくらみやめまいがあるときは起立性低血圧(いわゆる脳貧血)の可能性があります。この場合はゆっくりと動作をすることで発生を防止できることが多く、特に寝た状態からは足の屈伸を2~3回してから起き上がるとよいでしょう。
それでも症状がよくならないときは医師にご相談されることをお勧めします。
自分の運動量がどのくらいかとお悩みの方へ
運動を心がけているけれど体重が思うように減らず、いったいどの程度のカロリーを消費しているのだろうとお思いの方は多いと思います。
特に最近は歩くことが良いといわれていますが、万歩計では歩数はわかっても消費カロリーまではわかりません。ゆっくり歩いた場合と早足で歩いた場合では消費カロリーも異なります。
当院にはライフコーダーという、歩行や駆け足による消費カロリーを測定する器具があります。大きさ、重さは普通の万歩計と変わりませんので手軽に装着し、消費カロリーを測定することができます。
当院にお越しの際はお気軽にご相談ください。
不整脈について
心拍が不規則な間隔となることを不整脈といいますが、これには全く放置可能なものから生命にかかわるものまであります。症状としては動悸や「心臓が持ちあがる感じ」、漠然とした「胸騒ぎ」などいろいろで、症状がまったくないことも少なくありません。
診断には心電図が必要ですが、検査中に不整脈がでないことも多く、この場合は24時間心電図(ホルター心電図)が有効です。運動をしたときに不整脈が減少する場合は心配いらないことが多いですが、これはあくまでも一般論ですので一度医療機関に相談されることをお勧めします。
心配な腰痛、あまり心配しなくてもよい腰痛
腰痛でお悩みの方はとても多いと思います。腰痛の原因はとても多く、筋肉痛や加齢による骨の変形といった命にかかわらないものから、動脈瘤の破裂のように救命のために一刻を争うような重大なものまであります。
一般的に安静時に痛む、発熱や足のしびれを伴う場合は治療を要することがほとんどであるため、医療機関に速やかに受診することをお勧めします。それに対して起床時には痛むが、歩き出すと楽になる場合はあまり心配しなくても良い場合が多いと思われます。
歩行中の足の痛みにご注意
歩行中にふくらはぎに痛みやしびれを感じ、休むとそれらが治ってまた歩けるようになるが、歩いているうちにまた同じような症状が起こることがあります。これを間欠性跛行と言い、足の血管が動脈硬化により細くなったり、腰の背骨(腰椎)がずれて神経を圧迫することが原因です。
この場合は放置しておいても軽快せず、心筋梗塞などの重篤な病気の前兆となることもあるので様子を見ずに早めに是非医師に相談してください。
癌の化学療法(抗がん剤を用いた治療)に関する考え方の変化
ひと口に癌といってもいろいろですが、その患者数は乳癌、肺癌、大腸癌をはじめとして年々増加しています。
その中には不幸にして手術では治しきれないものもあることは皆様もご存知のことと思います。その場合、手術以外の方法で治療することとなりますが、化学療法はその中の重要な柱です。
消化器系の癌や乳癌、肺癌などのいわゆる固形癌に対する治療の考え方は、以前は腫瘍の縮小あるいは消失を目的としていましたが、そのためには抗がん剤の使用量も多くなり、副作用が強かったため、抗がん剤を使用しても寿命が伸びなかった(つまり延命できなかった)ケースが多々ありました。
最近、腫瘍を縮小させるのではなく、大きくしない程度の少量の抗がん剤を用いた治療(癌休眠療法とも言われています)が考案され、抗がん剤による延命が図れるようになってきました。この方法ですと副作用も少なくすることができるため、必ずしも治療のために入院する必要がなくなり、通院による化学療法が可能となりました。
小生はこれに関する報告を癌治療学会で毎年行っており、積極的にこの方法を用いて癌の治療を行っています。特に消化器系の癌の治療に関してお悩みの方は是非当院にお越しください。
漢方薬に関する誤解がありませんか?
漢方薬は「効きがおだやか」「ゆっくりと効果が出る」「副作用が少ない」とお思いの方は多いのではないでしょうか。
実はこれらのことは必ずしも正しくありません。漢方薬を処方するとき、「証」(体質のようなもの)と病期(急性、慢性のようなもの)の診立てが重要で、これがぴったり合うと効果が急速に現れることがあり、また「証」が合わないと副作用が出ます。
時には西洋医学で使用している薬剤よりも顕著に出現することもあるので注意が必要です。つまり西洋医学でも東洋医学でも「薬」はもろ刃の剣であり、さじ加減が大切なのです。
禁煙は大切です
最近健康増進法が施行されたように、政府もようやく喫煙の害を認識したようです。
喫煙はがんや動脈硬化の原因となることをご存知の方は多いと思います。先進国では男性の全死亡の24%、女性の全死亡の7%が喫煙によるもので、喫煙者の平均寿命は非喫煙者の8年短いといわれています。また、禁煙するのに遅すぎるということはありません。女性ではダイエットのために喫煙をしているという方がいらっしゃいますが、これは体重とともに寿命も減らす行為であるといえます。
禁煙をしたいがなかなかできないという方は禁煙教室に行かれるのもよいでしょう。埼玉タバコと健康を考える会にお問い合わせください。
都市に住んでいる人は寿命が短い?
都市部には医療施設が充実しているため、平均寿命は全国平均を上回ると思われがちですが、実際は東京都区部、名古屋市、大阪市、をはじめ6都市が男女とも全国平均を下回っています。
死因として多いのは糖尿病、がん、肝疾患などで、全国平均より少ないのは脳卒中、不慮の事故、老衰のみです。なぜ都市部の人の寿命が短いのか原因ははっきりしません。
生活上のストレス、大気汚染などが可能性として挙げられますが、少なくとも病気が起こってから対処(治療)するよりも、予防するほうが重要であると言えます。
ノロウィルスとは何者?
ノロウイルスはカキなどの貝類に存在するウイルスで、冬季前半の下痢嘔吐症(おなかに来る風邪)の原因となるものです。
最近ウイルスの集団感染で、特別養護老人ホームの入居者に死者がでていると報道されておりますが、普段健康な方が感染しても2~3日で治るので、水分補給に気をつけていればそれほど恐れるウイルスではありません。インフルエンザウイルスのほうがはるかに恐ろしいのです。
ただし、体力の落ちた方で吐き気で水分が取れなくなってしまった方は点滴などの治療をしたほうが安心です。
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